ファラオの墓感想

ファラオの墓を見た 竹宮惠子原作の漫画をモー娘18が演じた舞台だった 正直あんまり見る気はしなかった…というのもどうせ円盤が出ることは分かってたし、舞台は一時停止も巻き戻しも出来ないから見終わった後にすぐ感動が溶けてしまう 正直円盤が手元にないなら見ても意味ないのかな…てゆ~かあんまモー娘分かんないし…と思ってたため あとそれからファラオの墓というテーマに興味を持てなかった ファラオの墓という言葉から醸し出される埃臭い戦いのオーラ、怖…ファラオの墓ってなんだよ…争いごとを好んで観劇する野蛮さを軽蔑してすらいた 加えて舞台が始まる30分前にキンプリ続編製作決定の報を聞き(キンプリ本当にありがとう)、正直心はプリズムショーに向いていた

こんな気持ちで古代エジプトに赴けるわけねーだろと思っていたが上演開始後、舞台上の石の置物の目が光りながら古代エジプトっぽい音楽が流れ出す 現れる譜久村聖 澄んだ歌声…劇場の、劇場のスピーカーの迫力ある音 家で円盤で見るのと全然違う…、、ていうか譜久村さんの生歌良過ぎて仰天 私は一気に舞台に引き込まれてしまう そこからしばらく記憶がないが気付くと役者全員で歌っていた 全員合唱!私は全員合唱が大好き しかも歌う時の古代エジプトっぽいダンスも全員でユニゾンしててめっちゃ迫力があった 佐藤優樹がバトン持ったまま踊ってて良かった

本編開始 詳細は覚えてないけどまず始めにスネフェル様が喋り始めた気がする スネフェル様は冷血にして傲慢で苛烈な国王である まだ少年という若さでありながらすぐに気に入らない人間の首を手づからはねようとする様子、まさに暴君!役者は石田亜佑美である 石田亜佑美はこういう役よりも続11人いるのタダのような真面目で大人しくて地味だけど勇敢で賢くて髪の毛が黒い草食系の男の子役が向いてるんじゃないかなと思ってたけどまあ…、、スネフェル様 完全にスネフェル様であった スネフェル様の乱暴な振る舞い、歩き方、座り方、声…全てが “ 暴君 ” “ 王 ” の姿であった…石田亜佑美は天才である カッコいい!イケメン!

途中色々記憶がないが小田さくらの歌声にハッとしたのは覚えている 小田さくらはナイルキア役である 祖国を滅ぼされ身寄りのない姫…小田さくらのマジで妖精みたいな鈴の歌声は純粋で世間擦れしてない姫というナイルキアのキャラクター設定を観客に歌一曲で把握させた いわゆるプリズムボイスである その後も小田さくら小田さくららしいマジで妖精みたいな声で演技し続け最後スネフェルの腕の中で死ぬまで圧倒的に小田さくらであった もちろんこれはナイルキアを演じられてなかったという意味ではなく、役に小田さくら色をのせて登場人物として昇華させるのが見事だったという意味である 小田さくら小田さくららしいところが本当良いと思う

他にも牧野真莉愛の前世は姫だったに違いないこととか生田衣梨奈の側転とか本当に色々すごいとこがたくさんあったが記憶がない カーテンコールで全部飛んだ

スネフェル様は物語の最後に殺されてしまうのだが舞台のカーテンコールというのは死人も登壇する 役者達全員が並んで階段を降りてお辞儀をし終わった後、最後は惨めに殺されてしまったスネフェル様が堂々とした足取りで舞台中央の階段を降り、金のマントをこうバサッと翻して顎を上げて不敵に笑ったのだった もうそこがめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃにカッコよくて無理だった…王気が見えた…もう本当にカッコいい゛…今思い出してもすごくカッコよくてもう超イケメンでホント無理…暴君・冷血・イケメンであるスネフェル様はまさにエジプトの王、彼こそ真のファラオなのだ…

古代エジプトは素晴らしい 厳格な身分制度、戦乱、奸計…しかしそれらを孕んでなお一層王冠は金に煌めき、エジプト統一の夢、平和への渇望は絶えないのだ…この舞台を見る前までの私は流れる血を見て醜さだけを感じたが、それは犠牲を経て築き上げられた神の文明の一面に過ぎない 小さい時ピラミッドの本とか読んで考古学者になりたいなあと思ったのを思い出す 歴史を超えて今私が見つめるファラオという存在のなんと厳かなことか 永遠の光ファラオよ…闇を照らすファラオよ、、、かつての王は長い年月をかけて神になったのだ…ということを舞台見終わった後つけ麺を飲みながら考えました 食い過ぎて吐いた